1052年 末法元年 [年号のゴロ合わせ]
今日は取り上げるのは、末法思想(まっぽうしそう)です。
末法思想とは、
末法(まっぽう)の世になれば、仏法(ぶっぽう)が衰えて乱世(らんせ)になるであろう!という、
仏教の予言思想です。
平安時代、末法の世は永承(えいしょう)7年にスタートすると考えられていました。
西暦になおすと、1052年です。
この年、すなわち末法元年(まっぽうがんねん)が近づいてくると、
人々の間に「もうすぐ末法の世とやらに突入してしまう!ヤバイ!!」という、
とてつもない不安がひろがってゆきます。
せまり来る末法に、人々はどう対処したのでしょうか…
仏教の開祖(かいそ、その宗教をはじめてひらいた人)は誰か、分かりますか?
答えは、ガウタマ・シッダールタ、というインド人です。
言語によって発音が異なるため、ゴータマ・シッダッタなどと表記される場合もあります。
ほかに、釈迦(しゃか)とか、釈尊(しゃくそん)とか、ブッダとか、いろいろな呼び名があります。
ガウタマ・シッダールタの生涯を描いた作品といえば、手塚治虫さんの漫画『ブッダ』が有名です。
読んだことありますか?
これは名作ですよ~!
ちなみに、ブッダというのは「目覚めた人」、つまり、悟(さと)りをひらいた人、という意味です。
ガウタマ・シッダールタの詳しい生涯については、『ブッダ』をお読みいただくことにして(笑)、
今日は、彼が亡くなったあとのことを見ていきます。
* * *
たくさんの教えを説いたガウタマ・シッダールタは、あるとき、80歳でこの世を去ります。
これを入滅(にゅうめつ)、とか、仏滅(ぶつめつ)といいます。
さぁ、問題はここからです…
ガウタマ・シッダールタが生きているならば、
「この教えは具体的にどういうことですか?」と、いくらでも本人に尋ねることができます。
でも、ガウタマ・シッダールタは亡くなってしまったのです。
もう直接質問することができないのです。
ガウタマ・シッダールタの死から時間が経つにつれ、
彼の説く正しい教え(仏法)や正しい行い(修行)はどんどんうすれてゆくのではないか…
そんな不安が人々の間に広がってゆきます。
末法思想は、まさにこの不安から生まれてくるのです。
末法思想では、入滅後の時間を、3つの期間に分けて捉えます。
まずは、ガウタマ・シッダールタの死から1000年間(500年間とする説もアリ)は、
正しい教えが伝えられ、修行して悟りをひらく人がいる、という期間です。
これを、正法(しょうぼう、または、しょうほう)といいます。
次に、そこからさらに1000年間は、
正しい教えが伝えられ、修行する人もいるけれど、悟りをひらく人は現れない、という期間です。
これを、像法(ぞうぼう)といいます。
では、像法が終わると…?
ガウタマ・シッダールタの死から2000年(1500年という説もアリ)が経ってしまうと…??
正しい教えはなんとか伝わっているけれど、
修行する人も、悟りをひらく人も現れない、という乱世に入ります。
これこそが末法なのです!

ちなみに、末法はなんと10000年間続きます(千じゃないですよ!万ですよ!!)。
1052年スタートで、10000年間ですので…
そう、末法なうなのです!!
言われてみれば、あれもこれも末法だから?なんて気になってきますよねぇ…
* * *
末法思想に触れるとき、いつもノストラダムスの予言を思い出します。
ノストラダムスっておじさん、知ってますか?
いまの学生さんたちは、ほとんど知らないかもしれません…
むかーし昔、ノストラダムスというフランス人がいましてね。
「1999年に世界は滅びるであろう」なんていう恐ろしい予言を残したのですよ。
2017年のいまなら、「滅んでないやん!」の一言で笑い飛ばせるのですが、
当時は、1999年が近づくにつれ、テレビでもよく特集が組まれていたのです。
彼の予言にまつわる本もたくさん出版されて、ベストセラーになっていました。
うちの親も、御多分に洩れず、『ノストラダムスの大予言』みたいな本を買ってきましたからね…
小学生のころにその本を見て、
表紙の外人の顔も怖いし(もちろんノストラダムスですよ)、挿絵も怖いし、
夜も寝られないほどビビった記憶があります。
『ノストラダムスの大予言』がならんでいる本棚に、近づくことさえ怖かったくらいです。
1999年には高校生になっていましたけど、それでもちょっと本気にしてました。
「もうすぐ世界が滅びるんやったら、勉強せんでいいやん!」なんてゆー都合のいいことまで考えてましたからね。
結局、世界は滅びなかったので、勉強せなあかんかったわけですが…(笑)
ノストラダムスの予言ははずれ、ちゃんと21世紀はやって来ましたが、
それでも、そういうたぐいの特番って、テレビで定期的にやってるじゃないですか。
信じるか信じないかはアナタ次第、ってね。
これだけ科学が進歩した現代でさえ、
世界が滅びるみたいな予言を「嘘やろ!」って笑い飛ばしながらも、
心のどこかでなんかちょっぴり信じちゃうんですよ。
それなのにです!
11世紀ごろの人々が、「もうすぐ乱世がやってくるであろう」なんて予言を聞いたらどうなると思います?
だいぶ信じるんです!
いや、めちゃくちゃ信じるんです!!
しかも、ちょうどそのころ、各地でいろいろな災害が起きたり、
町では盗賊(とうぞく)や乱闘(らんとう)が頻発して治安が悪化するなどしていたようです。
そうするとね、それもこれも「みんな末法が近づいてきたせいだ!」と結びついてしまうのです!
そして、末法思想の信憑性(しんぴょうせい)が、ぐんぐん高まってしまうのです!!
怖いですよね…ほんと怖い。
そこで、人々は仏さまにすがるようになります。
浄土教(じょうどきょう)の発達です。
ちなみに、鎌倉時代に法然(ほうねん)がひらいたのは浄土宗(じょうどしゅう)です。
混同しないよう注意してください!
* * *
浄土教とは、阿弥陀仏(あみだぶつ)、または、阿弥陀如来(あみだにょらい)と呼ばれる仏さまを信仰し、
来世(らいせ)において極楽浄土(ごくらくじょうど)に往生(おうじょう)することを願う教えのことです。
ぬぅぅぅ…漢字が多すぎてややこしいですね…
ざっくりかみくだいていきましょう。
まず、極楽浄土とは、幸せいっぱいの「あの世」のことです。
まぁキリスト教でいうところの天国みたいなもんですね。
で、阿弥陀仏(阿弥陀如来)は、その極楽浄土をつくった仏さまなのだそうです。
つまり、極楽浄土をつくった阿弥陀仏をひたすら信じることで、
この世を去ったら極楽浄土に生まれ変わりたい…と願うのが、浄土教なのです。
分かりますか?
でも、どうやったら極楽浄土に往生することができるんでしょうか…
それがアラ簡単!
阿弥陀仏の名前を口にするだけでいいんですって!!
それが、「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」という念仏(ねんぶつ)なのです。
阿弥陀仏という仏さまの名前を念じるので、念仏といいます。
ちなみに、頭についている「南無(なむ)」は、
サンスクリット語で「あなたにおまかせします」という意味があるのだそうです。
念仏をとなえれば極楽浄土に往生できる…
ホンマかいな?と思うぐらい簡単なことですが、
簡単がゆえに、末法を目の前にした人々の間に、浄土教はぐんぐん広まってゆくのです。
* * *
ここで、浄土教を広めた人物を、3人紹介しましょう。
いずれも末法の世に入る前に活躍した人々です。
①空也(くうや)
浄土教を人々に説いてまわったお坊さんです。
とくに京都の市(いち)で念仏を広めたことから、市聖(いちのひじり)と呼ばれます。
鎌倉時代に康勝(こうしょう)がつくった空也の木像、有名ですよね!

口から何か出てますね…
空也が「南無阿弥陀仏」ととなえると、その1音1音が阿弥陀仏になった…という伝説をあらわしているのだそうです。
詳しくは後日、鎌倉文化で紹介します。
②源信(げんしん)、または、恵心僧都(えしんそうず)
念仏による極楽往生の方法を、『往生要集』(おうじょうようしゅう)という本にまとめお坊さんです。
その序文を見てみましょう。
夫(そ)れ〔1 〕の教行(きょうぎょう)は、濁世末代(じょくせまつだい、にごり果てた末法の世のこと)の目足(もくそく、道しるべのこと)なり。道俗貴賤(どうぞくきせん、出家した人とそうではない人、身分の高い人と低い人、ということ)、誰か帰せざる者あらむや。但(ただ)し顕密の教法(けんみつのきょうぼう、顕教と密教、つまりこれまでの仏教すべて、ということ)は、其(その)文一に非(あら)ず。事理の業因(ごういん)は、其の行(ぎょう)惟(こ)れ多し。(中略)是(こ)の故(ゆえ)に、〔2 〕の一門に依りて、聊(いささ)か経論の要文を集む。之(これ)を披(ひら)き之を修(しゅ)すれば、覚(さと)り易(やす)く行ひ易からん。(出典〔3 〕『4 』、原漢文)
空欄にあてはまる語句は次の通りです。
1…極楽往生
2…念仏
3…源信、または、恵心僧都
4…往生要集
入試では、この序文から本のタイトルと作者名、すなわち〔3 〕と〔4 〕を問うことが多いです。
〔1 〕や〔2 〕の語句を答える問題は、たま~に出るだけです。
しかも、ちゃんと選択肢が用意されています。
ちなみに、応天門の変で登場した源信(みなもとのまこと)とは別人ですからね!
漢字は一緒なので、気をつけてください!!
③慶滋保胤(よししげのやすたね)
『日本往生極楽記』(にほんおうじょうごくらくき)という本を書いた人物です。
これは、聖徳太子など、極楽浄土に往生した45人の伝記を集めたものです。
このような本を、往生伝(おうじょうでん)といいます。
ちなみに、平安京の右京が早くから荒廃していたことを記した『池亭記』(ちていき)の作者でもあります。
* * *
最後に末法思想のキーワードをあげておきましょう。
・末法元年=1052年(永承7年)
・浄土教の発達
空也
源信(恵心僧都)『往生要集』
慶滋保胤『日本往生極楽記』
ところで、ガウタマ・シッダールタっていつ亡くなったのでしょう。
末法元年が1052年として逆算すると…紀元前949年ごろとなります。
しかし!
実は、ガウタマ・シッダールタがいつ生まれていつ亡くなったのか、
いまでもよく分かってないんですよ…
んじゃ、本当の末法のはじまりって、一体いつなのでしょうね…
正法の期間だって、500年説と1000年説があるわけで…
とりあえず、平安時代の人々は1052年スタートだと信じていたようなので、
この数字を末法元年として覚えておいてください!
それでは、今日のゴロ合わせ☆

次回から、平安時代のまとめプリントの続きを見ていきます。
画像出典
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A9%BA%E4%B9%9F

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末法思想とは、
末法(まっぽう)の世になれば、仏法(ぶっぽう)が衰えて乱世(らんせ)になるであろう!という、
仏教の予言思想です。
平安時代、末法の世は永承(えいしょう)7年にスタートすると考えられていました。
西暦になおすと、1052年です。
この年、すなわち末法元年(まっぽうがんねん)が近づいてくると、
人々の間に「もうすぐ末法の世とやらに突入してしまう!ヤバイ!!」という、
とてつもない不安がひろがってゆきます。
せまり来る末法に、人々はどう対処したのでしょうか…
仏教の開祖(かいそ、その宗教をはじめてひらいた人)は誰か、分かりますか?
答えは、ガウタマ・シッダールタ、というインド人です。
言語によって発音が異なるため、ゴータマ・シッダッタなどと表記される場合もあります。
ほかに、釈迦(しゃか)とか、釈尊(しゃくそん)とか、ブッダとか、いろいろな呼び名があります。
ガウタマ・シッダールタの生涯を描いた作品といえば、手塚治虫さんの漫画『ブッダ』が有名です。
読んだことありますか?
これは名作ですよ~!
ちなみに、ブッダというのは「目覚めた人」、つまり、悟(さと)りをひらいた人、という意味です。
ガウタマ・シッダールタの詳しい生涯については、『ブッダ』をお読みいただくことにして(笑)、
今日は、彼が亡くなったあとのことを見ていきます。
* * *
たくさんの教えを説いたガウタマ・シッダールタは、あるとき、80歳でこの世を去ります。
これを入滅(にゅうめつ)、とか、仏滅(ぶつめつ)といいます。
さぁ、問題はここからです…
ガウタマ・シッダールタが生きているならば、
「この教えは具体的にどういうことですか?」と、いくらでも本人に尋ねることができます。
でも、ガウタマ・シッダールタは亡くなってしまったのです。
もう直接質問することができないのです。
ガウタマ・シッダールタの死から時間が経つにつれ、
彼の説く正しい教え(仏法)や正しい行い(修行)はどんどんうすれてゆくのではないか…
そんな不安が人々の間に広がってゆきます。
末法思想は、まさにこの不安から生まれてくるのです。
末法思想では、入滅後の時間を、3つの期間に分けて捉えます。
まずは、ガウタマ・シッダールタの死から1000年間(500年間とする説もアリ)は、
正しい教えが伝えられ、修行して悟りをひらく人がいる、という期間です。
これを、正法(しょうぼう、または、しょうほう)といいます。
次に、そこからさらに1000年間は、
正しい教えが伝えられ、修行する人もいるけれど、悟りをひらく人は現れない、という期間です。
これを、像法(ぞうぼう)といいます。
では、像法が終わると…?
ガウタマ・シッダールタの死から2000年(1500年という説もアリ)が経ってしまうと…??
正しい教えはなんとか伝わっているけれど、
修行する人も、悟りをひらく人も現れない、という乱世に入ります。
これこそが末法なのです!

ちなみに、末法はなんと10000年間続きます(千じゃないですよ!万ですよ!!)。
1052年スタートで、10000年間ですので…
そう、末法なうなのです!!
言われてみれば、あれもこれも末法だから?なんて気になってきますよねぇ…
* * *
末法思想に触れるとき、いつもノストラダムスの予言を思い出します。
ノストラダムスっておじさん、知ってますか?
いまの学生さんたちは、ほとんど知らないかもしれません…
むかーし昔、ノストラダムスというフランス人がいましてね。
「1999年に世界は滅びるであろう」なんていう恐ろしい予言を残したのですよ。
2017年のいまなら、「滅んでないやん!」の一言で笑い飛ばせるのですが、
当時は、1999年が近づくにつれ、テレビでもよく特集が組まれていたのです。
彼の予言にまつわる本もたくさん出版されて、ベストセラーになっていました。
うちの親も、御多分に洩れず、『ノストラダムスの大予言』みたいな本を買ってきましたからね…
小学生のころにその本を見て、
表紙の外人の顔も怖いし(もちろんノストラダムスですよ)、挿絵も怖いし、
夜も寝られないほどビビった記憶があります。
『ノストラダムスの大予言』がならんでいる本棚に、近づくことさえ怖かったくらいです。
1999年には高校生になっていましたけど、それでもちょっと本気にしてました。
「もうすぐ世界が滅びるんやったら、勉強せんでいいやん!」なんてゆー都合のいいことまで考えてましたからね。
結局、世界は滅びなかったので、勉強せなあかんかったわけですが…(笑)
ノストラダムスの予言ははずれ、ちゃんと21世紀はやって来ましたが、
それでも、そういうたぐいの特番って、テレビで定期的にやってるじゃないですか。
信じるか信じないかはアナタ次第、ってね。
これだけ科学が進歩した現代でさえ、
世界が滅びるみたいな予言を「嘘やろ!」って笑い飛ばしながらも、
心のどこかでなんかちょっぴり信じちゃうんですよ。
それなのにです!
11世紀ごろの人々が、「もうすぐ乱世がやってくるであろう」なんて予言を聞いたらどうなると思います?
だいぶ信じるんです!
いや、めちゃくちゃ信じるんです!!
しかも、ちょうどそのころ、各地でいろいろな災害が起きたり、
町では盗賊(とうぞく)や乱闘(らんとう)が頻発して治安が悪化するなどしていたようです。
そうするとね、それもこれも「みんな末法が近づいてきたせいだ!」と結びついてしまうのです!
そして、末法思想の信憑性(しんぴょうせい)が、ぐんぐん高まってしまうのです!!
怖いですよね…ほんと怖い。
そこで、人々は仏さまにすがるようになります。
浄土教(じょうどきょう)の発達です。
ちなみに、鎌倉時代に法然(ほうねん)がひらいたのは浄土宗(じょうどしゅう)です。
混同しないよう注意してください!
* * *
浄土教とは、阿弥陀仏(あみだぶつ)、または、阿弥陀如来(あみだにょらい)と呼ばれる仏さまを信仰し、
来世(らいせ)において極楽浄土(ごくらくじょうど)に往生(おうじょう)することを願う教えのことです。
ぬぅぅぅ…漢字が多すぎてややこしいですね…
ざっくりかみくだいていきましょう。
まず、極楽浄土とは、幸せいっぱいの「あの世」のことです。
まぁキリスト教でいうところの天国みたいなもんですね。
で、阿弥陀仏(阿弥陀如来)は、その極楽浄土をつくった仏さまなのだそうです。
つまり、極楽浄土をつくった阿弥陀仏をひたすら信じることで、
この世を去ったら極楽浄土に生まれ変わりたい…と願うのが、浄土教なのです。
分かりますか?
でも、どうやったら極楽浄土に往生することができるんでしょうか…
それがアラ簡単!
阿弥陀仏の名前を口にするだけでいいんですって!!
それが、「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」という念仏(ねんぶつ)なのです。
阿弥陀仏という仏さまの名前を念じるので、念仏といいます。
ちなみに、頭についている「南無(なむ)」は、
サンスクリット語で「あなたにおまかせします」という意味があるのだそうです。
念仏をとなえれば極楽浄土に往生できる…
ホンマかいな?と思うぐらい簡単なことですが、
簡単がゆえに、末法を目の前にした人々の間に、浄土教はぐんぐん広まってゆくのです。
* * *
ここで、浄土教を広めた人物を、3人紹介しましょう。
いずれも末法の世に入る前に活躍した人々です。
①空也(くうや)
浄土教を人々に説いてまわったお坊さんです。
とくに京都の市(いち)で念仏を広めたことから、市聖(いちのひじり)と呼ばれます。
鎌倉時代に康勝(こうしょう)がつくった空也の木像、有名ですよね!

口から何か出てますね…
空也が「南無阿弥陀仏」ととなえると、その1音1音が阿弥陀仏になった…という伝説をあらわしているのだそうです。
詳しくは後日、鎌倉文化で紹介します。
②源信(げんしん)、または、恵心僧都(えしんそうず)
念仏による極楽往生の方法を、『往生要集』(おうじょうようしゅう)という本にまとめお坊さんです。
その序文を見てみましょう。
夫(そ)れ〔1 〕の教行(きょうぎょう)は、濁世末代(じょくせまつだい、にごり果てた末法の世のこと)の目足(もくそく、道しるべのこと)なり。道俗貴賤(どうぞくきせん、出家した人とそうではない人、身分の高い人と低い人、ということ)、誰か帰せざる者あらむや。但(ただ)し顕密の教法(けんみつのきょうぼう、顕教と密教、つまりこれまでの仏教すべて、ということ)は、其(その)文一に非(あら)ず。事理の業因(ごういん)は、其の行(ぎょう)惟(こ)れ多し。(中略)是(こ)の故(ゆえ)に、〔2 〕の一門に依りて、聊(いささ)か経論の要文を集む。之(これ)を披(ひら)き之を修(しゅ)すれば、覚(さと)り易(やす)く行ひ易からん。(出典〔3 〕『4 』、原漢文)
空欄にあてはまる語句は次の通りです。
1…極楽往生
2…念仏
3…源信、または、恵心僧都
4…往生要集
入試では、この序文から本のタイトルと作者名、すなわち〔3 〕と〔4 〕を問うことが多いです。
〔1 〕や〔2 〕の語句を答える問題は、たま~に出るだけです。
しかも、ちゃんと選択肢が用意されています。
ちなみに、応天門の変で登場した源信(みなもとのまこと)とは別人ですからね!
漢字は一緒なので、気をつけてください!!
③慶滋保胤(よししげのやすたね)
『日本往生極楽記』(にほんおうじょうごくらくき)という本を書いた人物です。
これは、聖徳太子など、極楽浄土に往生した45人の伝記を集めたものです。
このような本を、往生伝(おうじょうでん)といいます。
ちなみに、平安京の右京が早くから荒廃していたことを記した『池亭記』(ちていき)の作者でもあります。
* * *
最後に末法思想のキーワードをあげておきましょう。
・末法元年=1052年(永承7年)
・浄土教の発達
空也
源信(恵心僧都)『往生要集』
慶滋保胤『日本往生極楽記』
ところで、ガウタマ・シッダールタっていつ亡くなったのでしょう。
末法元年が1052年として逆算すると…紀元前949年ごろとなります。
しかし!
実は、ガウタマ・シッダールタがいつ生まれていつ亡くなったのか、
いまでもよく分かってないんですよ…
んじゃ、本当の末法のはじまりって、一体いつなのでしょうね…
正法の期間だって、500年説と1000年説があるわけで…
とりあえず、平安時代の人々は1052年スタートだと信じていたようなので、
この数字を末法元年として覚えておいてください!
それでは、今日のゴロ合わせ☆

次回から、平安時代のまとめプリントの続きを見ていきます。
画像出典
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A9%BA%E4%B9%9F

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とても覚えやすいです。内容が頭に入ってきます。是非単行本化して欲しいです。
by たっけ (2022-11-18 15:43)
たっけ様
嬉しいコメント、ありがとうございます!!
単行本化は夢なので、実現したら嬉しいことです…
まずは次々と更新できるようがんばります☆
by 春之助 (2022-12-22 10:54)