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平安時代(14) [まとめプリント]

久しぶりの更新、久しぶりのまとめプリントです。

これまでの古代(こだい)とオサラバし、いよいよ中世(ちゅうせい)に突入します。
とはいえ、「中世っていつのこと?」と問われると、これがハッキリ答えられんのです…
かつては鎌倉時代と室町時代を中世と呼んでいたのですが、
最近では「院政期あたりから中世って言ってもいいんじゃな~い?」てな感じになってきています。
中世という時代区分はヨーロッパで考えられたものなので、
日本にぴったり当てはまらないんですよねー。
なので、「このプリントあたりから中世なんだ~」とザックリとらえておいてください。

では、まとめプリントに沿って見ていきましょう。

平安14.jpg

1068年、後三条天皇(ごさんじょうてんのう)が即位します。
藤原氏と外戚(がいせき)関係にない彼は、
大江匡房(おおえのまさふさ)などの学者さんを登用し、親政(しんせい)を開始します。

そして翌1069年、延久の荘園整理令(えんきゅうのしょうえんせいりれい)を発令するのです。

このころ、公領(こうりょう)とか国衙領(こくがりょう)などと呼ばれる国の土地は、
どんどん増える荘園によって圧迫されておりました。
そこで、公領(国衙領)を守るため、基準にあわない荘園を停止してしまおう!と考えたワケです。

これまで荘園整理令は、902年や1045年など、たびたび発令されてきましたが、
いずれも国司に任せていたため不徹底に終わっています。

てなワケで、後三条天皇は本気です!
(いや、みんな本気だっただろうけど…)
荘園の審査を、国司に任せるのではなく、中央でおこなったのです!!

中央の太政官(だいじょうかん、または、だじょうかん)に
記録荘園券契所(きろくしょうえんけんけいじょ)、略して記録所(きろくしょ)を設置して、
荘園の所有者が提出する券契(けんけい、荘園の証拠書類)と国司の報告を審査します。
で、書類不備のものや、前回の荘園整理令が出された1045年以降に成立した新しい荘園など、
基準にあわない荘園を停止したのです。

これは、摂関家や大寺社の荘園も対象としたため、かなりの成果をあげます。
たとえば、京都にある石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)という神社が所有する荘園は、
なんと34カ所のうち13カ所もの権利が停止されています。

後三条天皇、強気だぜー!
摂関家を外戚としない彼だからこそ、できたのでしょうね!!

ほかにも後三条天皇は、宣旨枡(せんじます)を制定し、枡の大きさも統一しています。

*   *   *

後三条天皇にかわって即位したのは、息子の白河天皇(しらかわてんのう)です。
白河天皇といえば、上皇として院政(いんせい)をはじめたことで有名ですが、
天皇としての功績で覚えることは、
京都に法勝寺(ほっしょうじ)というお寺をつくったことぐらいでしょうか。
たび重なる火災や戦乱で建物はすべて失われてしまいましたが、
とてつもなく大きなお寺で、高さ80メートルを誇る八角形の九重塔まであったんだとか!
五重塔どころじゃないですよ、“きゅうじゅうのとう”ですよ!!

復元した模型がコチラ↓(10階建てに見えるのは、裳階(もこし)がついているためです)
hossyouji.jpg
(古典の日記念 京都市平安京創生館より)

そびえてますね~!
ちなみに現在、九重塔があった場所には、京都市動物園の観覧車がたっています。
いまもそびえとるわけですね~(笑)

このあと法勝寺の近くには、「勝」の漢字がつく大きなお寺が次々とたてられます。
お寺の名前と、それを建てた人の名前の一覧は以下の通りです。
 ・法勝寺         :白河天皇
 ・尊勝寺(そんしょうじ) :堀河天皇(ほりかわてんのう)
 ・最勝寺(さいしょうじ) :鳥羽天皇(とばてんのう)
 ・円勝寺(えんしょうじ) :待賢門院(たいけんもんいん、詳しくはコチラ
 ・成勝寺(じょうしょうじ):崇徳天皇(すとくてんのう)
 ・延勝寺(えんしょうじ) :近衛天皇(このえてんのう)
これらを6つまとめて六勝寺(ろくしょうじ、または、りくしょうじ)と呼びます。



では、プリントの右上にうつりましょう。

きましたよ~…荘園制…

いやですよね。
きらいですよね。

分かります!
その気持ち!!
なるべく簡潔にかみ砕いて説明しますので、ついてきてください!!!

*   *   *

まずは簡単に、荘園の歴史をおさらいしておきましょう。
平安時代(10)平安時代(11)もあわせてご覧くださいね!

平安14-1.jpg

743年に墾田永年私財法(こんでんえいねんしざいほう)が出され、
初期荘園(しょきしょうえん)、つまり墾田地系荘園(こんでんちけいしょうえん)が発生します。

でもそのうち、浮浪(ふろう)・逃亡(とうぼう)・偽籍(ぎせき)などが横行するようになり、
戸籍(こせき)・計帳(けいちょう)制度は崩壊、
902年に延喜の荘園整理令(えんぎのしょうえんせいりれい)を出してみるも、
班田収授(はんでんしゅうじゅ)もおこなわれなくなり、税制は立ち行かなくなります。

↓   ↓   ↓

平安14-2.jpg

そこで10世紀、朝廷は税制の大転換をおこないます。
これまでの人頭税(じんとうぜい、人にかける税)にかわり、土地に税をかけるようにし、
その徴税を、これまでの郡司にかわり、国司に請け負わせるようにしたのです。
徴税を請け負うかわりに、一国内の統治をゆだねられるようになった国司はオイシイ役職となり、
成功(じょうごう)・重任(ちょうにん)・遙任(ようにん)がおこなわれるようになります。
なかには、ガメツイ受領(ずりょう、任国に赴く最上席の国司)も現れます。

この税制の大転換にともない、課税対象となる田んぼは名(みょう)という単位に分けられ、
国司はその耕作と徴税を有力農民である田堵(たと)に任せます。
田堵は名を請け負うことから、やがて負名(ふみょう)と呼ばれるようになります。
また、田堵のなかにはじゃんじゃん土地を開発し、
大名田堵(だいみょうたと)とか開発領主(かいはつりょうしゅ)と呼ばれるほど成長する者も現れます。

でもね、この時代、税は土地にかけられるようになっているわけですよ。
土地を開発すればするほど、いっぱい税を支払わないといけなくなるわけですよ。

なんとか税から逃れたい開発領主(大名田堵)たちは、
不輸の権(ふゆのけん)や不入の権(ふにゅうのけん)をもつ特権階級に土地を寄進します。
土地を寄進しても、みずからは荘官(しょうかん)としてその土地の管理を続けられるので、
寄進地系荘園はどんどん増加してゆくのです。

↓   ↓   ↓

平安14-3.jpg

前述の通り、増えまくる寄進地系荘園は、1069年の延久の荘園整理令によって整理されます。
これにより、貴族や寺社が支配する荘園と、国司の支配する公領(国衙領)とがハッキリし、
荘園公領制(しょうえんこうりょうせい)が成立するのです。
ザックリいうと、荘園と公領(国衙領)で国が構成されている、という感じです。

荘園については平安時代(11)に詳述しているので、そちらをご覧いただくとして、
ここでは公領(国衙領)を見ていきましょう。

平安14-4.png

公領(国衙領)の統治を担うのは国司、とくに受領です。
前述のとおり、受領とは任国に赴く最上席の国司を指します。
なのにねー、このころになると、任国に行かなくなっちゃうんですよ!
受領なのに遙任しちゃうんですよ!!
なんたる矛盾!!!

そんなこんなで任国の国衙には、受領が派遣した目代(もくだい)がやってきます。
目代は、地元の有力者である開発領主たちを在庁官人として雇い、国衙を経営してゆくのです。

なお、公領(国衙領)の開発を奨励する朝廷は、
それらを郡(ぐん)・郷(ごう)・保(ほ)という並列した支配単位に編成しなおします。
国衙は、在庁官人のなかから郡司(ぐんじ)・郷司(ごうじ)・保司(ほし)を任命し、
それぞれの徴税を請け負わせるようになります。

徴収する税はというと、
公領では官物(かんもつ)・公事(くじ)・夫役(ぶやく)、
荘園では年貢(ねんぐ)・公事・夫役に変わっています。

むあぁぁぁぁーーーー、ややこしいですよねーーーー…
もっとうまくまとめられたらいいのですが、私にはこれが限界のようです…

*   *   *

最後に解答を載せておきましょう。

平安14解答.jpg



次回は、院政をまとめていきます。
更新が滞っていること、なにとぞご了承ください…

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画像出典
古典の日記念 京都市平安京創生館 http://web.kyoto-inet.or.jp/org/asny1/souseikan/index.html
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まゆ

学校の授業だけでは理解できず、悩んでいたところ、このブログを見つけました。本当に分かりやすく、授業料を払いたいほどです。

私の学校の文系は、世界史B,日本史B両方を勉強しています。用語が難しく、暗記以前に理解に時間がかかる日本史には苦手意識を持っていましたが、日本史の面白さに気付けました。

定期考査では、良い点数が取れそうです。とっても感謝しています。
by まゆ (2022-10-02 18:10) 

春之助

まゆ様
嬉しいコメント、ありがとうございます!!
学校の授業は限られた時間内に決められた時代まで進まなければならないので、丁寧に深く掘り下げられないのが実情です。
ぜひ当ブログで授業を補完して、苦手意識を克服してください☆
応援していますよ♪
by 春之助 (2022-10-04 12:57) 

s

まじでわかりやすいです
by s (2022-12-03 14:22) 

春之助

s様
嬉しいコメント、ありがとうございます!
今後ともよろしくお願いいたします☆
by 春之助 (2022-12-22 10:52) 

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