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鎌倉時代(7) [まとめプリント]

今日は9代目の執権(しっけん)である北条貞時(ほうじょうさだとき)の時代をまとめてゆきましょう。

鎌倉7.jpg

1284年、8代執権・北条時宗(ほうじょうときむね)の急死をうけて、
息子の北条貞時が9代執権に就任します。

といっても北条貞時は満12歳という幼さなので、
有力御家人の安達泰盛(あだちやすもり)が補佐にあたります。

しかし、1285年に霜月騒動(しもつきそうどう)がおこり、
内管領(うちかんれい、または、ないかんれい)の平頼綱(たいらのよりつな)が、
安達泰盛を滅ぼしてしまいます。

これによって安達泰盛を支持してきた御家人たちは政治から排除され、
得宗専制政治(とくそうせんせいせいじ)が本格的に始まることになるのです。

では、その仕組みをプリントの右上で詳しく見てみましょう。

*   *   *

鎌倉時代のはじめ、政治を主導したのは将軍・源頼朝(みなもとのよりとも)です。
しかし、源頼朝の死後、鎌倉幕府は北条氏による執権政治(しっけんせいじ)へと移行し、
やがて執権・連署(れんしょ)・評定衆(ひょうじょうしゅう)で構成される評定(ひょうじょう)が、
合議で政治を進めるようになります。

が!
この時代!!
なんと将軍も評定も形骸化しちゃっているのです!!!

では一体誰に権力があるのかというと、得宗(とくそう)です。
得宗は「北条氏嫡流の惣領家」なんて小難しい言葉で説明されがちですが、
簡単に言えば「いっぱいいる北条氏のなかでいちばん血筋のよい北条氏」って感じです。

その得宗に仕える家臣たちを御内人(みうちびと、または、みうちにん)といい、
御内人のリーダーをとくに内管領と呼びます。

得宗は、内管領・北条氏一門・得宗の外戚(がいせき)にあたる御家人たちを私邸に招き、
しばしば寄合(よりあい)という会議をおこなうのですが、
この時代、その寄合こそが鎌倉幕府の最高意思決定機関になっておるのです!
得宗が自分ちに北条ファミリーとかを集めて政治を進めちゃっているのです!!

さらに、執権・連署はもちろんのこと、
引付衆(ひきつけしゅう)・六波羅探題(ろくはらたんだい)といった鎌倉幕府の重要ポストも、
北条氏がほとんど独占しているという状態です。
(侍所の長官である別当(べっとう)は執権が兼務するので北条氏が代々就任し、
 侍所の次官である頭人(とうにん)は内管領が兼務することになっています)

また、1293年に博多に設置された鎮西探題(ちんぜいたんだい)も、
3年後に北条氏一門が派遣されたのをきっかけに、以降は代々北条氏の就任が続いていますし、
守護(しゅご)・地頭(じとう)も北条氏一門の任命が相次いでいます。
鎌倉時代(2)のプリントに対応させるべく、空欄11番の点線枠を黄緑色でなぞっておいてください☆)

得宗専制政治のもと、北条氏の勢いはとどまることを知らないのです!!

*   *   *

ところで、執権と得宗ってナニがドウ違うのでしょう?
そもそもいつから執権イコール得宗じゃなくなったのでしょう??

鎌倉時代(3)のプリントから北条氏の系図だけを切り取ったものがコレです ↓ 。
①~⑯の数字は執権の就任順で、赤で囲ってあるのが得宗です(北条時政を得宗とする場合もアリマス)。

鎌倉7-2.jpg

これを見ると、得宗は代々嫡子(ちゃくし)が就任していることが分かりますね。
(北条時氏(ほうじょうときうじ)は得宗になる前に早逝、
 北条経時(ほうじょうつねとき)は病気のため弟の北条時頼(ほうじょうときより)に得宗の座を譲る)
そして、執権イコール得宗じゃなくなるのは、6代執権のときであることが分かります。

このとき一体ナニがあったのでしょうか…

思い出してください…

1256年、5代執権・北条時頼が病に倒れますが、息子の北条時宗はまだ満5歳。
そこで、彼がオトナになるまでのツナギとして、
惣領の流れにはない北条氏から6代執権と7代執権が選ばれたじゃないですか!?
(ナニソレ忘れた!ってヒトは1274年のゴロ合わせを復習してくださいね☆)

6代執権と7代執権は惣領家の出身ではないので、得宗ではありません。
病気療養中とはいえ、得宗はあくまでも惣領家の北条時頼なのです。
その後、北条時頼は病から奇跡の復活を遂げ、
執権を差し置いて、得宗として政治をおこなうようになります。

鎌倉7-1.jpg

こうして、執権イコール得宗ではなくなり、
執権ではなく、得宗が実権を握るようになり(執権の任免権も得宗にあります)、
執権が率いる評定ではなく、得宗がひらく寄合が政治の決定権を有するようになるのです。

*   *   *

プリントの左側に戻りましょう。

1289年、鎌倉幕府は7代将軍・惟康親王(これやすしんのう)を京に送りかえします。
得宗および執権の座に就いたばかりの幼い北条貞時に対して、
かれこれ20年も将軍の座に就いている満25歳の惟康親王の求心力を危ぶんだためです。

かわって、8代将軍として鎌倉に迎えるのは、
院政をおこなう時の権力者・後深草上皇(ごふかくさじょうこう)の息子である久明親王(ひさあきらしんのう、または、ひさあきしんのう)です。
鎌倉幕府的には、北条貞時よりちょっぴり年下の満13歳、ってのがポイントです♪

得宗周辺が将軍の任免に口出しできるほど、将軍は形骸化していますので、
もちろん将軍・久明親王にはなんの権力もありません。
その後、1308年には京に送りかえされ、
かわって満7歳の息子・守邦親王(もりくにしんのう)が9代将軍に就任します。



さて、霜月騒動のあと、政治を主導するのは内管領・平頼綱ですが、
彼は1293年、北条貞時によって滅ぼされてしまいます。
これを平頼綱の乱(たいらのよりつなのらん)とか、平禅門の乱(へいぜんもんのらん)と呼びます。

有力御家人・安達泰盛 → 内管領・平頼綱 → 得宗&執権・北条貞時、
という権力者の流れ、しっかり理解してくださいね★

鎌倉7-3.jpg

では、いよいよ北条貞時の政治を見てゆきましょう。

1297年、彗星(すいせい)が観測されたことをきっかけに、
北条貞時は永仁の徳政令(えいにんのとくせいれい)を発します。

目的は、窮乏する御家人たちの救済で、

①越訴(おっそ、判決済みの訴訟の再審請求)の禁止
②御家人の所領の質入れ・売却の禁止
 質入れ・売却した御家人の所領のうち、手放してから20年未満のもの、
 または相手が非御家人や凡下(ぼんげ)のものは、無償で元の持ち主に返還
③御家人が関係する金銭の訴訟は受理しない

という3ヶ条で構成されています。
これによって訴訟があふれかえるなどの混乱が生じ、翌年、撤回しています。
(ただし、1297年以前に御家人同士でやりとりした質入れ地・売却地の無償返還だけは残ります)

1301年、彗星が観測されたことをきっかけに北条貞時は出家し(彗星に影響されすぎやん…)、
息子はまだ幼すぎるため、イトコを10代目の執権に任命します。

その後、北条氏一門のなかでゴタゴタが起こったりしてすっかりヤル気を失った北条貞時は、
酒に溺れるようになり、寄合にも顔を出さなくなってしまいます。
これにより、得宗専制政治は内管領の長崎氏(ながさきし)などによって進めらるようになるのです。

ところで!

このころ、畿内(きない)やその周辺で、悪党(あくとう)の動きが活発化します。
悪党は、単純に「悪いヤツら」という意味ではなくて、
社会秩序を乱す集団をさします(それは悪いヤツらかもしれない…笑)。

余剰生産物を蓄えて富を得る荘官(しょうかん)・名主(みょうしゅ)や、
流通を掌握して力をつける新興武士などが、
その経済力を背景に、荘園制度や鎌倉幕府に抵抗をみせるようになるのです。
(悪党についてはまたのちのち詳しく紹介します)

このような動揺をしずめるため、鎌倉幕府は得宗専制政治を強化しますが、
御家人の不満を招いてしまいます。

そして1311年、北条貞時はこの世を去り、
満7歳の息子・北条高時(ほうじょうたかとき)が得宗となります。

彼が執権の座に就くのは5年後のことで、
その間、10代目・11代目・12代目・13代目の執権が就任しますが、
彼らは完全なるツナギなので覚えなくてケッコーです!
覚えるべき次の執権は、14代執権の得宗・北条高時ですからねーー!!

では、最後にプリントの解答を載せておきましょう。

鎌倉7解答.jpg

次回の鎌倉時代(8)では、社会の変動をまとめていきますよー!



【参考文献】
近藤成一編『日本の時代史9 モンゴルの襲来』(吉川弘文館、2003年)
本郷恵子『日本の歴史6 京・鎌倉ふたつの王権』(小学館、2008年)

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まかろん

更新ありがとうございます!!
今受験生なのですが、高二の時からずっと見ていて、本当に春之助さんのブログのおかげで日本史が好きになりました!!
本当に本当に毎回更新を心待ちにして、毎回楽しく見させてもらっています!授業ではあまり触れられない裏話を絡めて覚えられるのも、イラストとゴロで覚えられるのも、全てわかりやすくて大好きです!
私は学生なので、育児の大変さは計り知れませんが、体にお気をつけてゆったり更新頑張ってください!楽しみに待ってます!!
by まかろん (2023-05-24 18:47) 

春之助

まかろん様
嬉しいコメントありがとうございます!
今年受験を控えておられるとのこと、頑張ってください☆
のろのろ更新なので、なかなか進まなくて申し訳ありませんが…復習のお役に立てればうれしいです!!
応援しています!!!
by 春之助 (2023-05-25 12:11) 

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